『完全果実』の製造をはじめた頃の話しです。製品がなかなか思うような出来栄えすならず、頭を悩ませてました。

自宅のキッチンで1~2キロ程度作るのなら思うような風味に自在にコントロール出来ていたのですが、ファクトリーでその10倍の量を作ると想定通りには行かないことが幾つかありました。

考えに考えていると少しずつ改善点にたどり着くのですが、なかなか解決出来ない悩みのひとつがフルーツに金属臭がうつることでした。ほんの僅かですが金属の嫌な鉄臭さを感じていたのです。

フルーツは酸性なので金属と喧嘩をしていることに気付き、製造工程からあらゆる金属の排除を試みます。フルーツを混ぜ合わせていた容器は大きな寸胴鍋(アルミ製)を使ってましたが、プラスチック製に変えました。そのような感じで徹底的に脱金属をはかりました。

最後の最後まで別素材に変えられなかったのがホイッパー。コレの攪拌能力は素晴らしく、金属以外の代替え品を探せずにいました。ファクトリーではテニスラケットくらいの大型ホイッパーを使っています。

市販の混ぜる機能の器具で脱金属なのは給食センターで使うような柄の長い巨大シャモジとラーメン屋さんが使うエンマ棒(スープを炊くとき肉や野菜を潰しながらかき混ぜる棒)くらいです。どちらも撹拌能力は高くありません。

厨房器具での代替え品を探すことをあきらめ、スポーツ用品に目を向けると剣道の竹刀にたどり着きます。竹なら和食や中華系の厨房用品でもよく使われている、衛生面でも不安のない素材。

思いつけば足が迷わず東京水道橋にある剣道用具店に向かいます。竹刀を購入しちょこちょこと改造、オリジナルの撹拌棒を作りました。

簡単に分解洗浄出来るようにしたので、衛生面も心配ありません。

世界で唯一の自立型竹刀を使って『完全果実』は作られています。